大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成元年(特わ)1075号 判決 1989年9月29日

本籍

東京都中央区新川一丁目一番地

住居

同都世田谷区砧五丁目二一番六号

会社員

堀義雄

昭和二二年三月二八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月及び罰金一〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都世田谷区砧五丁目二一番六号に居住し、不動産仲介業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、受取報酬の一部及び雑収入を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六〇年分の被告人の実際総所得金額が八九九〇万八五八円あった(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六一年三月一五日、同都世田谷区若林四丁目二二番一四号所在の所轄世田税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の総所得金額が八九〇万八五八円で、これに対する所得税額が三三万一一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第八五〇号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額四一一四万六七〇〇円と右申告税額との差額四〇八一万五六〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  桂本和雄、山村善博、四宮亮一(二通、いずれも謄本)、楢林丘至(謄本)及び楢林堯典(謄本)の検察官に対する各供述書

一  収税官吏作成の領置てん末書

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  受取報酬調査書

2  雑収入調査書

3  接待交際費調査書

4  源泉所得税調査書

一  押収してある所得税確定申告書一袋(平成元年押第八五〇号の1)及び収支内訳書一袋(同押号の2)

(法令の適用)

一  罰条

所得税法二三八条一、二項

二  刑種の選択

懲役刑と罰金刑の併科

三  労役場留置

刑法一八条

四  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

(求刑 懲役八月及び罰金一二〇〇万円)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村俊夫)

別紙1

修正損益計算書

堀義雄

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

<省略>

堀義雄

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

<省略>

別紙2

脱税額計算書

昭和60年分

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例